無駄な階段・その訳は?
December 11, 2020
uji kyotoここは宇治市郊外の新興住宅街。この街は、アニメ「響け! ユーフォニアム」の舞台となった街。いわゆる聖地です。坂の上に実際に高校がある。「北宇治高校」という名前ではないけれど。
1980年代後半、バブル真っ盛りの頃に、住宅公団(現UR)により造成された。関西圏の戸建ては、10~30坪程度の貧乏臭いものが多い中で、さすがに公団が造成しただけあって1区画が最低でも50坪程度あり、ゆったりとしている。当時はプチ高級住宅地だった。バブルの勢いもあり、一時は1区画1億円近くの値が付いたこともあった。
今ではその面影もなく、他の新興住宅街と同様、住人の高齢化も進み、衰退してしまった。最大の衰退の原因は、駅から遠く(徒歩20~30分、バスはせいぜい1時間に1本)、しかも坂や階段が多いこと。麓から坂の上まで標高差で50m以上ある。
そんなところに、今の子育て世代が住まいを求めるはずもなく、住んでいるのはリタイアした老人世代。体力の衰えた老人たちを苦しめているのが、この謎の階段。
この階段は、一体何のためにあるのだろう?歩道を行き来するためには、必ずこの階段を上り下りしなければならない。車道との間には柵が設けられ、危険を承知で車道を迂回することすらできない。老人たちの行く手を阻む謎の階段。
道路の向こう側は一段高くなっており、ちょっとした公園になっている。この階段を登って公園に行けるのかといえば、そうなってはいない。階段の頂上の写真を見て分かる通り、ただ登って下るためだけの階段なのだ。
ちなみに、その公園は「響け! ユーフォニアム」の巡礼スポットの1つであり、休日にはリュックを背負ってカメラを持ったあやしげなファンを見かけることがある。
何故こんな階段を作ったのかは知る由もないが、少し想像してみる。
この階段は業者が撤去する仕事を得るために故意に造ったのではないか
以下はあくまで想像ですよ。
この階段がある道は宇治市の市道だから施主は宇治市役所。市役所の土木課か建設課か都市計画課なのかは知らないけれど、そのへんの誰かが設計し、業者に発注したのだろう。設計したといっても、実際は図面も読めない担当者が業者に丸投げして作らせたものなんだと思う。本来役所の上長のチェック機能が働くべきだけど、上長もまともに図面が読めず、機能は果たせない。
業者はこれに付け込んで、くだんの謎の階段を盛り込んだ設計提案をした。意図は、後にこの階段を撤去する仕事を受注するため。役所は図面が読めないんでスルーしてしまい、謎の階段は完成した。
その後バブル崩壊で予算が厳しくなり、階段撤去もままならず、今に至る。
この想像は当たっているだろうか?