VMware Workstation ProにmacOS 15 Sequoia Beta版 をインストールする

August 29, 2024

emulatormacOSVMware

目次

はじめに

VMware Workstation ProにmacOS 15 Sequoiaをインストールしてみます。Sequoiaは2024年秋リリース予定のmacOSです。Sequoiaでは、iPhone画面のミラーリング等興味深い新機能が搭載されるらしいですが、果たしてVMware Workstation Proのエミュレーターで再現することができるのでしょうか?

Windows上でお手軽にmacOSを動かすには、かつてはVirtualBoxやVMware Playerを利用する方法がありましたが、最近のmacOSはVirtualBoxでは動作しないようです。筆者の環境でもmacOS Ventura以降はVirtualBoxでは動作できていません。

VMware Workstation Proが個人利用者向けに2024年5月に無償開放されたので、あえてVMware Playerを使う意味もなくなりました。

そこで、今回はVMware Workstation ProでmacOS Sequoiaを稼働させてみます。

VMware Workstation Proのインストール

以下のページからVMware Workstation Proのインストーラーをダウンロードできます。ただし、その前にbroadcom.comのサイトのアカウントを作っておく必要があります。

https://support.broadcom.com/group/ecx/productdownloads?subfamily=VMware+Workstation+Pro
VMware Workstation Pro Download

以前にVMware PlayerやFusion Playerを利用する際、アカウントを作った経験がある場合、そのアカウントがそのまま利用できるはずですが、筆者の場合自分の名前を登録する際、日本語で登録してしまい、結局それが文字化けを引き起こし以前のアカウントを利用できず、再作成となりました。

インストーラーをダウンロードしたら、起動し指示に従ってインストール。

「個人利用目的でVMware Workstation 17を使用(U)」を選択するとライセンスキー不要でインストールできます。

vmware_workstation_startup.png

筆者の場合、拡張キーボードドライバのインストールにチェックを入れました。

install_vmware.png

ここまでは簡単なのですが、インストールしたVMware Workstation Proでは、ゲストOSとしてWindowsとLinuxしか選べません。

vmware_1.png

macOSを稼働するためには、インストールしたVMware Workstation Proにパッチを当てる必要があります。この点が釈然とせずダークなイメージがつきまとうので、これまでVMwareとは距離をおいていましたが…

VMware Workstation Proのパッチは、「Unlocker」と呼ばれています。ロックされていたmacOSのインストールをアンロックするという意味なんでしょう。そもそもなんでVMware Workstation ProにmacOSのエミュレーション機能が実装されているにも関わらずロックされているのか?疑問です。
Unlockerは公式のものではなく、野良で開発されたものなので危険なものもあるかもしれません。

筆者が使用したものは、以下のサイト

https://github.com/DrDonk/unlocker/releases
DrDonk/unlocker

ここにあったunlocker426.zipを使用しました。

unlocker426.zipを伸張し、

windows/unlock.exeを管理者として実行。途中enterキーを押下する必要がありますが、一瞬で終わります。

パッチを当てたあとでは、ゲストOSとしてApple Mac OS Xが選べるようになります。

vmware_2.png

以上で、VMware Workstation Proの準備が整いました。

macOS 15 Sequoia beta版インストーラーの入手

Sequoiaは未だリリースされていないので、「Apple Beta Software Program」に登録してBeta版を入手することになります。「Apple Beta Software Program」はいわゆる人柱プログラムで、誰でも登録できます。

Sequoia beta版を入手するには正規のmacが必要です。「正規の」とはApple IDでログインできるmacという意味で、Apple IDでログインできないHackintoshや仮想マシン上のmacOSではうまくいかない場合があります。

お手持ちのmacの「ベータアップデート」を有効にし、Sequoia beta版インストーラーを入手します。「ベータアップデート」を有効にするには、お手持ちのmacをApple Beta Software Programに登録する必要があります。

以下の手順でお手持ちのmacをApple Beta Software Programに登録できます。

  1. Chromeで「apple beta software program」を検索しApple Beta Software Programサイトを開く

appple_beta_program.png

  1. 自分のApple IDで「登録」または「サインイン」

  2. 2段階認証の6桁の数字を入れてサインイン成功

ここで、macOS自体にApple IDでサインインしていなければ、2段階認証が失敗し、先に進めません。

筆者の場合、Chromeではサインインできたのですが、なぜかSafariでは出来ませんでした。

macをApple Beta Software Programに登録すると、

設定 > 一般 > ソフトウェアアップデート

にベータアップデート欄が追加されます。ベータアップデートをOFFから「macOS Sequoia Public Beta」に変更するとベータアップデートを入手できるようになります。

specify_beta.png

ここまで来たらターミナルを開いて、softwareupdate可能なバージョンの一覧を見てみます。

$ softwareupdate --list-full-installers
Finding available software
Software Update found the following full installers:
* Title: macOS Sequoia Beta, Version: 15.0, Size: 14085659KiB, Build: 24A5327a, Deferred: NO
* Title: macOS Sonoma, Version: 14.6.1, Size: 13340696KiB, Build: 23G93, Deferred: NO
* Title: macOS Sonoma, Version: 14.6, Size: 13339695KiB, Build: 23G80, Deferred: NO
* Title: macOS Sonoma, Version: 14.4.1, Size: 13298513KiB, Build: 23E224, Deferred: NO
* Title: macOS Ventura, Version: 13.6.9, Size: 11920840KiB, Build: 22G830, Deferred: NO
* Title: macOS Ventura, Version: 13.6.8, Size: 11922165KiB, Build: 22G820, Deferred: NO
* Title: macOS Ventura, Version: 13.6.6, Size: 11917983KiB, Build: 22G630, Deferred: NO
* Title: macOS Monterey, Version: 12.7.6, Size: 12118346KiB, Build: 21H1320, Deferred: NO
* Title: macOS Monterey, Version: 12.7.4, Size: 12117810KiB, Build: 21H1123, Deferred: NO
* Title: macOS Big Sur, Version: 11.7.10, Size: 12125478KiB, Build: 20G1427, Deferred: NO
* Title: macOS Catalina, Version: 10.15.7, Size: 8055650KiB, Build: 19H15, Deferred: NO
* Title: macOS Catalina, Version: 10.15.7, Size: 8055522KiB, Build: 19H2, Deferred: NO
* Title: macOS Catalina, Version: 10.15.6, Size: 8055450KiB, Build: 19G2021, Deferred: NO
* Title: macOS Mojave, Version: 10.14.6, Size: 5896894KiB, Build: 18G103, Deferred: NO

Sequoia Beta, Version: 15.0があることを確認できたら、

$ softwareupdate --fetch-full-installer --full-installer-version 15.0
canning for 15.0 installer
Install finished successfully

以上でmacのアプリケーションフォルダーに「Install macOS Sequoia Beta.app」がダウンロードできました。

インストールメディアイメージの作成

以下はアプリケーションフォルダーに「Install macOS Sequoia Beta.app」がダウンロードされたmac上で操作になります。

download_sequoia_4.png

このインストーラーから起動可能なISOディスクイメージを作成する手順を示します。

まずは、アプリケーションフォルダーに「Install macOS Sequoia Beta.app」が生成されていることを確認してください。

以降は全てmacOSのターミナル上での操作。

(1) 16GBの空イメージを作成する。

$ hdiutil create -o sequoia  -size 16G -layout SPUD -fs HFS+J -type SPARSE
created: /Users/username/sequoia.sparseimage

(2) 空イメージをマウントする。

$ hdiutil attach sequoia.sparseimage -noverify -mountpoint /Volumes/Sequoia
/dev/disk2          	Apple_partition_scheme         	
/dev/disk2s1        	Apple_partition_map            	
/dev/disk2s2        	Apple_HFS                      	/Volumes/Sequoia

(3) 空イメージに、起動可能なインストールメディアを作成する。

$  sudo /Applications/Install\ macOS\ Sequoia\ Beta.app/Contents/Resources/createinstallmedia --volume /Volumes/Sequoia
Password:
Ready to start.
To continue we need to erase the volume at /Volumes/Sequoia.
If you wish to continue type (Y) then press return: Y
Erasing disk: 0%... 10%... 20%... 30%... 100%
Copying essential files...
Copying the macOS RecoveryOS...
Making disk bootable...
Copying to disk: 0%... 10%... 20%... 30%... 40%... 50%... 100%
Install media now available at "/Volumes/Install macOS Sequoia Beta"

(4) ボリュームをアンマウントする。

$ hdiutil detach "/Volumes/Install macOS Sequoia Beta"
"disk2" ejected.

このコマンドで失敗した場合は、ボリュームを強制的にゴミ箱へドラッグ!

(5) isoイメージに変換する。

$ hdiutil convert sequoia.sparseimage -format UDTO -o sequoia
Driver Descriptor Map(DDM: 0)を読み込み中…
Apple(Apple_partition_map: 1)を読み込み中…
(Apple_Free: 2)を読み込み中…
disk image(Apple_HFS: 3)を読み込み中…
..............................................................................
経過時間: 33.411s
速度: 459.7Mバイト/秒
節約率: 0.0%
created: /Users/username/sequoia.cdr

(6) 後始末

$ mv sequoia.cdr InstallSequoiaBeta.iso
$ rm sequoia.sparseimage

以上で起動可能なインストールメディアイメージ「InstallSequoiaBeta.iso」が完成。

VMware Workstation ProにmacOS 15 Sequoia Betaの仮想マシンを作成

VMware Workstation Proを起動し、ホームタブ上の「(+)新規仮想マシンの作成」をクリック。

vm_sequoia_setting_01.png

新規仮想マシン作成ウィザードが開きます。

vm_sequoia_setting_01_2.png

仮想マシンの設定は以下のスクリーンショットを参考に。(筆者にて動作実績がある設定)

インストーラーディスクイメージファイルは、前節で作成した「InstallSequoiaBeta.iso」を指定。

vm_sequoia_setting_02.png

ゲストOSの選択

ゲストOSは「Apple Mac OS X」、バージョンは「macOS 14」を選択。

vm_sequoia_setting_03.png

仮想マシンの名前と場所を指定

vm_sequoia_setting_04.png

仮想ディスクのサイズを指定

vm_sequoia_setting_05.png

以上で設定完了。お好みで「ハードウェアをカスタマイズ(C)…」を設定し…

vm_sequoia_setting_06.png

Sequoia仮想マシンが出来上がった。

vm_sequoia_setting_07.png

「この仮想マシンをパワーオンする」でSequoia vmを起動すると、Sequoiaのインストールが進みます。

macOS Sequoia Betaのインストール

(1) 「この仮想マシンをパワーオンする」でSequoia vmを起動する。

install_sequoia_01.png

Appleロゴの後、言語選択画面が出るので、「日本語」を選択。

install_sequoia_02.png

(2) メニュー画面に切り替わる。まずはディスクユーティリティを選択。

install_sequoia_03.png

(3) 「VMware Virtual SATA Hard Drive Media」がインストール先のディスク。名前を「Macintosh HD」にし、「消去」ボタンをクリックし、ディスクを初期化する。

install_sequoia_04.png

(4) ディスクユーティリティを終了する。

(5) メニューに戻り、「Install macOS Sequoia Beta」を選択する。

install_sequoia_05.png

(6) 「続ける」をクリックすると、macOS Sequoia Betaのインストールを開始する。

install_sequoia_06.png

(7) インストール先のディスクを選択する。先に初期化した「Macintosh HD」ボリュームを選択する。

install_sequoia_07.png

(8) ディスクへのインストールが始まる。

install_sequoia_08.png

(9) vmが勝手に再起動し、インストールが継続。

install_sequoia_09.png

(10) インストール完了し、勝手にvmが再起動し、Sequoiaの初期設定に遷移する。

install_sequoia_10.png

(11) ウィザード形式でもろもろの設定を行います。

この仮想マシンではApple IDの設定はできないようです。

install_sequoia_11.png

注意する点は、「位置情報サービスを有効にする」は、この時点では有効にしないでおこくことです。有効にしてしまうと、筆者の環境ではなぜか位置がクパチーノに固定されてしまいました。(クパチーノはアップルの本社の所在地ですね。)それだけではなく、タイムゾーンも米国クパチーノに固定されて変更できなくなってしまいました。

install_sequoia_12.png

「位置情報サービスを有効にする」を有効にしなかったら、以下のタイムゾーン設定のページに遷移します。「位置情報サービスを有効にする」を有効にしてしまうと、タイムゾーン設定のページは出てきません。

install_sequoia_13.png

(12) すべての設定を終えて、Sequoiaのデスクトップとご対面。

install_sequoia_14.png

なんと壁紙が白いままでした。Sequoiaで追加された壁紙は今のところ全滅です。

Sonoma以前の壁紙ならば、

システム設定 > 壁紙

を開き、「スクリーンセーバとして表示」をOFFにすれば壁紙が表示されました。

セコイアの森の壁紙はデスクトップには表示されませんが、ログイン画面には表示されました。

install_sequoia_15_2.png

ここまでの段階でのデスクトップの様子。

install_sequoia_16.png

筆者の環境ではVMware上のSequoiaはさすがに遅すぎて使用に耐えません。ちなみにCPUは第8世代のCorei7。 デフォルトのままでネットワークは使えましたが、Apple IDのログインは出来ませんでした。

期待していた「iPhoneミラーリング」もこの仮想マシンからはApple IDにサインインできないため、動作させることはできませんでした。

VMware Toolsのインストール

最初にインストーラーInstall macOS Sequoia ISOイメージがマウントされていたらアンマウント(インストーラーDVDアイコンをゴミ箱にドラッグ)します。

仮想マシン(M)>VMware Toolsのインストール(T)… メニューからVMware Toolsをインストール

vmware_tools_1.png

インストーラーイメージがマウントされるので、「VMware Toolsのインストール」を起動。

vmware_tools_2.png

インストール途中でセキュリティ許可を求められるので、「許可」をクリック

VMware Toolsをインストールすると、ホストOSのディスクをマウントできたり、自在にウインドウサイズを変更できるようになります。

キーボードがおかしい?

VMware PlayerにSequoiaをインストールしてみて使ってみると…

キー入力の際、「“」を入れたつもりが「@」になってしまうとか、意図した記号キーが入力できないということはありませんか。

もしそうであれば、Sequoiaが正しいキーボード種類を認識していないということです。

このような場合、

アップルメニュー > システム設定 > キーボード

「キーボードの種類を変更」ボタンをクリックし、「キーボード設定アシスタント」を起動し、キーボードの種類をANSIキーボードからJISキーボードに変更すれば直るのですが、VMware PlayerにインストールしたSonomaには「キーボードの種類を変更」ボタンが無い!おそらくはVMware PlayerがANSIキーボードをエミュレートしていて決め打ちになっているのだと思いますが…

「キーボード設定アシスタント」は、Finderから

システム>ライブラリ>CoreServices

を開き、KeyboardSetupAssistantを起動すると立ち上がるはずなのですが、VMware PlayerにインストールしたSequoiaではこれもうまくいかない!

ここで詰んでしまったのですが、キーマッピングを変更するアプリKarabiner-Elementsをインストールすると、なぜかKeyboardSetupAssistantが起動するようになりました。

https://karabiner-elements.pqrs.org/
Karabiner-Elements

KeyboardSetupAssistantでキーボードの種類をANSIキーボードからJISキーボードに変更すればOKです。

おまけ

Sequoiaの雰囲気だけ楽しめればいいのなら、Sequoiaのデスクトップ壁紙をダウンロードして入れ替えるだけでも楽しめますよ。 https://www.igeeksblog.com/download-macos-sequoia-wallpapers/
Download the official macOS Sonoma wallpapers here

install_sequoia_17.png

まとめ

macOS Sequoia Beta版のインストールISOイメージを作成し、VMware Workstation Pro上にSequoia Beta版 をインストールする方法を紹介しました。


Written by questions6768 who lives in Uji, Kyoto.