ParallelsのWindowsXP仮想マシンをVirtualboxに移設

February 23, 2025

emulatorWindowsParallelsVirtualBox

目次

はじめに

筆者は使用していた個人用PCをリプレイスする際、古いPCを仮想化して、Intel Mac上のParallelsで再生できる状態を維持してきました。別に実用的に何かしようということではなく、時々開いて昔の思い出に浸ってみるとかのために。

  • 1997年製VAIO PCG-505(Windows95 OSR2)
  • 2002年製DELL Inspiron X200(WindowsXP SP3)

などのParallels仮想マシンを動態保存しています。

でもIntel Macが終わってしまい、Intel Mac上のParallelsで動かしていたx86仮想マシンも、このまま維持することが難しくなってきました。

そこで、Intel Mac上のParallelsで動いていたx86仮想マシンを、Virtualboxに移設することにしました。x64 PC上のVirtualboxもいつまで使えるかはわかりませんが、少なくともIntel Mac上のParallelsよりは寿命は長いだろうという判断です。

本記事はIntel mac上のParallelsのWindowsXP仮想マシンをWindowsのVirtualboxに移設する手順を書き留めたものです。

parallels_inspiron_desktop.png

PCG-505を仮想化したParallelsのWindows95仮想マシンをVirtualboxに移設した顛末については別記事にまとめています。

WindowsXPのプロダクトキーをサルベージ

Parallelsの仮想マシンをVirtualboxに変換する前に、ParallelsでWindowsXP仮想マシンが動いているうちに忘れずにやっておくことがあります。それはWindowsXPのプロダクトキーをサルベージしておくことです。

WindowsXPを動かす環境をParallelsからVirtualboxに移行するということは、WindowsXPを動かすマシンが変わるということです。WindowsXPは動作するマシンの構成が大きく変わる際に修復インストールが必要となり、その後プロダクトキーの入力が要求されます。このときParallelsでサルベージしたプロダクトキーを入力することにより、ライセンスが継続されます。

WindowsXPのプロダクトキーを調べるにはWindows Product Key Viewerを使用するのが簡単でよいでしょう。

リンク先からWindows Product Key Viewerをダウンロードし、アプリを起動するとプロダクトキーが表示されます。

Parallels仮想マシンから仮想ディスクイメージを抽出

Parallelsの仮想マシンファイル(拡張子が.pvmのファイル)は、実はファイルではなくディレクトリです。その中に仮想ディスクの実体が含まれています。ファインダーで.pvmのファイルを選択肢し、マウス右クリックから「パッケージの内容を開く」を指示すればディレクトリの内容が見れます。 .pvmディレクトリの中には、.hddの拡張子を持つディレクトリが存在し、さらにその中に仮想ディスクの実体が置かれています。 筆者のParallels仮想マシンの例では、

仮想マシンディレクトリ:Microsoft Windows XP.pvm
その中に仮想ディスクディレクトリ:Windows XP-0.hdd
その中に仮想ディス実体:Windows XP-0.hdd.0.{nnnnnnnn-nnnn-nnnn-nnnn-nnnnnnnnnnnn}.hds

というファイル構造となっていました。Parallelsの仮想マシンをVirtualboxに持って行くには、拡張子が.hdsの仮想ディスクファイルを拡張子がvdiやvmdkの仮想ディスクに変換する必要があります。

仮想ディスクの変換は、QEUMというツールを使用すれば容易なのですが、筆者の環境ではParallelsのWindowsXPの仮想ディスクをvmdkに変換しても、Virtualboxで認識させることが出来ませんでした。

そこで今回はQEUMは諦め、VMware FusionのParallels仮想マシンのインポート機能を使い、仮想ディスクを読み込みvmdk仮想ディスクに変換することにします。

VMware Fusionを起動し、

ファイル>新規…

「インストール方法の選択」ページで「既存の仮想マシンをインポート」を選択し、「続ける」をクリック

vmware_setting_1.png

「既存の仮想マシンを選択」ページで移行対象のWindows XPの仮想マシンを選択し、「続ける」をクリック

vmware_setting_2.png

VMware Fusionの仮想マシンを置く場所を指定し、「保存」をクリック

vmware_setting_3.png

「仮想マシンをインポート」ページで仮想ディスクの変換がはじまる

vmware_setting_4.png

「終了」をクリック

vmware_setting_5.png

ここまでの時点で仮想マシンファイル「Windows XP.vmwarevm」ができています。 ただし、仮想マシンを起動しても、ハードウェアが大幅に変わっているので正しく開始できません。ここから先、Virtualboxに持っていくのではなく、このままVMware Fusionの仮想マシンにしていくなら、WindowsXPのインストールISOをマウントして修復インストールすればよい。今回はVirtualboxに持っていくので一旦仮想マシンをシャットダウンします。

vmware_setting_6.png

仮想マシンをシャットダウン後、

仮想マシン>設定

vmware_setting_7.png

ハードディスク(IDE)>詳細オプション

「複数のファイルを割り当てる」のチェックを外して終了。

vmware_setting_8.png

「ハードディスク設定を終了する前に変更を適用しますか」のダイアログが出るので、「適用」をクリック

以上を終えたら、VMware Fusionを終了し、Finderで仮想マシンファイル「Windows XP.vmwarevm」を右クリックし、「パッケージの内容を表示」すると、仮想ディスク「Windows XP-0.vmdk」が出来ていることが確認できると思います。 この「Windows XP-0.vmdk」をVirtualboxに持っていくことになります。

Virtualbox7.1.xの設定

Parallelsから持ってきたWindowsXP仮想ディスクを動かすためのVirtualbox仮想マシンを作成します。

Virtualbox7.1.xから

仮想マシン(M)>新規(N)>名前とオペレーティングシステム(O)

vm_setting_1.png

仮想マシンの名前を設定、バージョン(V)は「Windows XP (32-bit)」にします。

仮想マシン(M)>新規(N)>ハードウェア(A)

vm_setting_2.png

メインメモリー(M)は1024MBで十分でしょう。

仮想マシン(M)>新規(N)>ハードディスク(K)

vm_setting_3.png

後でParallelsの仮想ディスクを変換したvmdkファイルを持ってくるので、ここでは「仮想ハードディスクを追加しない(D)」を選択

新規作成ウィザードを「完了」し、

仮想マシン(M)>設定(S)>ディスプレイ

vm_setting_4.png

ビデオメモリー(M)を32MBに設定

仮想マシン(M)>設定(S)>ストレージ

vm_setting_5.png

Parallelsの仮想ディスクを変換した「Windows XP-0.vmdk」ファイルをデバイスに追加

仮想マシン(M)>設定(S)>ネットワーク

vm_setting_6.png

NICは古めの「PCnet-PCI II(Am79C970A)」を選択。

仮想マシン(M)>設定(S)>USB

vm_setting_7.png

「USB2.0(OHCI+EHCI)コントローラー」を選択。

「OK」をクリックし仮想マシンの設定終了

仮想マシン(M)>起動(T)

によりWindowsXP仮想マシンを起動。

Windows XPの修復インストール

WindowsXP仮想マシンを起動すると、ハードウェアが大幅に変わっているので正しく開始できず、以下のような画面になると思います。

fail_start_windowsxp.png

ここで、WindowsXPのインストールCD(のISOファイル)を仮想マシンにマウントし、CDから起動させます。

windowsxp_recover_1.png

Enterキーを押してセットアップを開始します。使用許諾の応答を経て、次の画面があらわれます。

windowsxp_recover_2.png

Rキーを押して修復開始

windowsxp_recover_3.png

勝手に再起動し、修復は続く…

windowsxp_recover_4.png

途中でプロダクトキーの入力を促されます。このWindows XPがParallelsで稼働しているときにサルベージしておいたプロダクトキーを入力します。

windowsxp_recover_5.png

見慣れた起動画面に変わり、修復は続く。

windowsxp_recover_6.png

ラインセンス認証を促されるもののここではスキップ。

windowsxp_recover_7.png

修復シーケンスが終わると、Parallelsで稼働していたときのアカウントでログインできる。

windowsxp_recover_8.png

ParallelsからVirtualboxに移行したことにより、仮想マシンの構成が大きく変わってしまったので、再度ライセンス認証が必要ということらしい。

windowsxp_recover_9.png

ライセンス認証の警告を無視して進むと、Parallelsで稼働していたときと同じデスクトップと対面できたものの、背景にはライセンス認証していない旨のタトゥーが…

windowsxp_recover_10.png

WindowsXPの再アクティベーション

ライセンス認証していない旨のタトゥーを消すために、

スタートメニュー>Windowsのライセンス認証

windowsxp_activation_1.png

認証方法はオンラインか電話をかけてオペレーターに対応してもらうかを選べる。

windowsxp_activation_2.png

ネットが繋がっていればオンラインでライセンス認証が可能なはずですが、ネットが繋がっていることは確認できているにもかかわらず、何故かライセンスサーバーと接続できない…ひょっとしたらWindows XPのライセンスサーバーは撤去されているとか… windowsxp_activation_3.png

で、仕方なくMicrosoftに電話をかけてオペレーター経由でやることに、

windowsxp_activation_4.png

人間のオペレーターが応答すると思いきや、まさかのAIによる対応。AIの「聞き取れませんでした。もう一度お願いします。」に苛つきながら、インストールIDと確認IDの交換を延々と行いやっとのことでアクティベーションが完了。これ以降は、このWindowsXPを元のParallelsでは動かしたら駄目ってことね。

次にやること

コントロールパネル>プログラムの追加と削除

Parallels Toolsのアンインストール

windowsxp_next_1.png

Virtualbox Guest Additionのインストール

windowsxp_next_2.png

Windows XP SP3へのアップデート

windowsxp_next_3.png

Windows Updateはもはやできない。

windowsxp_next_4.png

Webブラウザは、IEとChromeとSafariは当時入っていたバージョンのまま更新がされないので、使い物になりません。すっかり忘れていたけど当時はWindows版のSafariがあったんだ。 Firefoxは自動更新ができて、2025年時点のサイトでもなんとか表示されました。

windowsxp_next_5.png

まぁ、怖いんで常用はしないけど。

まとめ

Windows XP仮想マシンをParallels Desktop 17からVirtualbox7.1.2にマイグレーションできました。 思い出が詰まった20年前のPCの仮想マシンなんで、大事に保守していきます。


Written by questions6768 who lives in Uji, Kyoto.