ParallelsのWindows10仮想マシンをWindows11にアップグレードする

October 12, 2021

emulatormacOSParallelsWindows11

目次

はじめに

Intel mac上のParallels DesktopのWindows10仮想マシンをWindows11にアップグレードしてみました(M1 macではありません)。Windows11はTPM2.0等ハードウェア要件のハードルが高くなってしまいましたが、結論から言うと、Parallels Desktop 17だと超簡単にアップグレードできました。

手持ちが古いParallels Desktopの場合、17への有償アップグレードはかなわんという場合でも手はあります。

本稿では、

  • Parallels Desktop 17による超簡単Windows11アップグレード
  • 旧Parallels Desktopのまま、無理矢理Windows11アップグレード

の2つのWindows11アップグレード方法を紹介します。

Parallels Desktop 17による超簡単Windows11アップグレード

Parallels Desktopで稼働中のWindows10仮想マシンをWindows11にアップグレードするのは超簡単!

Step1:Parallels本体のアップデート

ParallelsをParallels Desktop 17にアップデートする。Parallels Desktop 17にアップデートしておけば、TMPさえ設定すればあとは超簡単でWindows11にアップグレードできる。

parallels_desktop_17.png

Step2:仮想マシンをバックアップ

Windows11にアップグレードするWindows10仮想マシンをバックアップしておくか、スナップショットを保存しておく。

Step3:仮想マシンの設定変更

Windows11にアップグレードするWindows10仮想マシンの設定変更

設定>一般

仮想マシン名が「Windows10」とかだったらまぎらわしいので「Windows11」に変更する。

vm_config_1.png

設定>ハードウェア

「+」ボタンをクリックし、仮想TMPチップを追加する。

vm_config_2.png

vm_config_3.png

Step4:Windows11にアップグレード

Windows11にアップグレードするWindows10仮想マシンを起動し、MicrosoftのWindows11ダウンロードサイトにアクセスする。

https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows11
Windows 11 をダウンロードする

「Windows 11 インストール アシスタント」の「今すぐダウンロード」をクリックし、Windows11InstallationAssistant.exeをダウンロードする。

upgrade_windows11.png

ダウンロードしたWindows11InstallationAssistant.exeを起動する。

あとはウィザードの指示に従いインストールを開始すると、勝手に何回か再起動したのち、Windows11にアップグレードされている。その間人手介在は全くなし!超簡単。

旧Parallels Desktopのまま、無理矢理Windows11アップグレード

手持ちが古いParallels Desktopで、Parallels Desktop 17への有償アップグレードはもったいないと思ったら。古いParallels DesktopでもWindows10仮想マシンをWindows11にすることは可能です。ただし、Windows10のアプリの設定やデータを引き継いだアップグレードインストールは筆者の環境では成功していません。プロダクトキーを再利用したWindows11の新規インストールとお考え下さい。つまり、この方法ではWindows10のディスクの中身は全て消えてしまいます。

尚、レジストリエディタを使用する必要があり、操作を誤るとWindowsが起動しなくなるリスクはありますし、公式ではない手順が含まれていますので、ある日突然この方法ができなくなることもあるかもしれません。

諸般の事情で、「旧Parallels Desktop」ではなく、仮想TPMを導入しない状態の「Parallels Desktop 17」で撮ったスクリーンショットを掲載していますのでご了承ください。動作確認はMacBookPro Late2013上の「Parallels Desktop 15」で行い、この方法でWindows11アップグレードができることは確認しています。

Step1:起動用ISOファイル作成

Windows11にアップグレードするWindows10仮想マシンを起動し、MicrosoftのWindows11ダウンロードサイトにアクセスする。

https://www.microsoft.com/ja-jp/software-download/windows11
Windows 11 をダウンロードする

「Windows 11 のインストール メディアを作成する」の「今すぐダウンロード」をクリックし、MediaCreationToolW11.exeをダウンロードする。

download_media_creation_tool.png

ダウンロードしたMediaCreationToolW11.exeを起動する。

media_creation_tool_w11_1.png

使用するメディアを選ぶところでは、「ISOファイル」を選ぶ。Windows.isoが生成される。このISOファイルを後でParallelsにマウントして、ここから起動してWindows11にアップグレードすることになる。

media_creation_tool_w11_3.png

Parallelsの場合、別にDVDにコピーする必要はない。

media_creation_tool_w11_6.png

ブート可能なインストーラーWindows.isoが完成。

Step2:Windows10仮想マシンの設定変更

Windows10仮想マシンの名前が「Windows10」とかになっていたら、まぎらわしいので「Windows11」等の名前に修正する。

parallels_config_1.png

Step1で作成したWindows.isoをマウントする。

parallels_config_2.png

起動順序をCD/DVDが最優先になるように変更する

parallels_config_3.png

Step3:Windows11要件チェックを回避してインストール

仮想マシンをWindows.isoから起動すると、Windows11がインストール可能かのチェックを行い、OKならばWindows11への更新が始まる。古いParallelsの場合、このチェックに引っ掛かりインストールに進めないのだが、レジストリエディタでチェックを回避するフラグを設定すれば、インストーラーを騙してインストールに進むことができる。

仮想マシンをWindows.isoから起動する

win11_installer_1.png

「今すぐインストール」をクリック

win11_installer_2.png

「プロダクトキーがありません」をクリック。キーがないのではなく、アップグレードだから新たなキーを入れなくても認証できるということ。

win11_installer_3.png

元々のWindows10と同じものを選択。

win11_installer_4.png

そのまま進むとこうなってしまい、先に進めない。

win11_installer_5.png

ここで、シフトキー+F10(macの純正キーボードの場合、シフトキー+fnキー+F10)を押して、コマンドプロンプトから「regedit」と入力し、エンターキーを押下。

win11_installer_6.png

レジストリエディタで、「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\Setup」を開き、

その下に「MoSetup」キーを作成し、DWORD値「AllowUpgradesWithUnsupportedTPMOrCPU」を作成し値を「1」にする。このキーはMicrosoft自ら公開したもの。

win11_installer_7.png

「HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\Setup」の下に「LabConfig」キーを作成し、

DWORD値「BypassTPMCheck」を作成し値を「1」にする。

DWORD値「BypassSecureBootCheck」を作成し値を「1」にする。

win11_installer_8.png

こちらは非公式のキー。Microsoftの公式サポート情報では、先の「AllowUpgradesWithUnsupportedTPMOrCPU」を追加するだけで、要件チェックを回避できるとのことだが、古いParallelsではダメだった。「AllowUpgradesWithUnsupportedTPMOrCPU」で回避できるのはTPM2.0のチェックとCPU要件のチェックだけでTPM1.2は不可欠なのに、ParallelsではTPM1.2をエミュレートできないので「BypassTPMCheck」が必要になったのではないか。(想像ですが)

レジストリキーの設定方法(レジストリエディタの操作方法)がよくわからない場合は、こちらのサイトに懇切丁寧に解説されていますので、ご参考に。

https://www.nichepcgamer.com/archives/how-to-upgrade-from-windows10-to-windows11-by-bypassing-tpm20-and-cpu-check.html
TPM 2.0 / CPUチェックを回避してWindows10からWindows11へとアップグレードする方法 [Update 1]

レジストリエディタを終了し、ウィザード左上の「←」キーで1つ前のページに戻り、再度「次へ」で進むと、ライセンス確認ページになっている。同意にチェックし、「次へ」で進む。

win11_installer_9.png

インストールの種類を選ぶ。選ぶとはいっても「カスタム」しか選べないはず。「カスタム」は新規インストールなんで、これまでのディスクの中身は消えてしまうので注意!

win11_installer_10.png

インストール先のパーティションを選ぶ。ディスクがGPTパーティションで作られていたら、Windows10領域を指定すればよい。

win11_installer_11.png

GPTパーティションでなければ、一旦すべてのパーティションを削除して、「次へ」

win11_installer_12.png

Windows11のインストールが始まる。

win11_installer_13.png

途中で再起動するので、そのまま再起動すると、再びISOファイルから起動してしまうので、再起動のタイミングで一旦仮想マシンを止めて、ハードディスクから起動するようにブート順序を変更する。

win11_installer_14.png

再起動してWinodws11の設定開始

win11_installer_15.png

ウィザードに従い設定を進めて、Windows11デスクトップとご対面。お疲れさまでした。

win11_installer_16.png

古いParallelsの場合、Parallels Toolsが自動的にインストールされない場合があります。その場合、手動でParallels Toolsをインストールしてください。Parallels Toolsをインストールするとスクリーン解像度がRetinaディスプレイに最適化されて快適です。

Parallelsメニュー>処理>Parallels Toolsのインストール

により、Parallels Toolsのインストールディスクがマウントされるので、インストーラをダブルクリックでOK。

まとめ

Parallels DesktopのWindows10仮想マシンをWindows11にアップグレードする方法を紹介しました。Parallels自身をParallels Desktop 17にアップグレードするのが超簡単にアップグレードインストールができたのですが、古いParallelsでも、新規インストールならできました。


Written by questions6768 who lives in Uji, Kyoto.