VMware Workstation ProにmacOS 15 Sequoia をインストールする

September 19, 2024

emulatormacOSVMware

目次

はじめに

VMware Workstation ProにmacOS 15 Sequoiaをインストールしてみます。Sequoiaは2024年9月にリリースされたmacOSです。Sequoiaでは、iPhone画面のミラーリング等興味深い新機能が搭載されているのですが、果たしてVMware Workstation Proのエミュレーターで再現することができるのでしょうか?

Windows上でお手軽にmacOSを動かすには、かつてはVirtualBoxやVMware Playerを利用する方法がありましたが、最近のmacOSはVirtualBoxでは動作しないようです。筆者の環境でもmacOS Ventura以降はVirtualBoxでは動作できていません。

VMware Workstation Proが個人利用者向けに2024年5月に無償開放されたので、あえてVMware Playerを使う意味もなくなりました。

そこで、今回はVMware Workstation ProでmacOS Sequoiaを稼働させてみます。

VMware Workstation Proのインストール

以下のページからVMware Workstation Proのインストーラーをダウンロードできます。ただし、その前にbroadcom.comのサイトのアカウントを作っておく必要があります。

https://support.broadcom.com/group/ecx/productdownloads?subfamily=VMware+Workstation+Pro
VMware Workstation Pro Download

以前にVMware PlayerやFusion Playerを利用する際、アカウントを作った経験がある場合、そのアカウントがそのまま利用できるはずですが、筆者の場合自分の名前を登録する際、日本語で登録してしまい、結局それが文字化けを引き起こし以前のアカウントを利用できず、再作成となりました。

インストーラーをダウンロードしたら、起動し指示に従ってインストール。

「個人利用目的でVMware Workstation 17を使用(U)」を選択するとライセンスキー不要でインストールできます。

vmware_workstation_startup.png

筆者の場合、拡張キーボードドライバのインストールにチェックを入れました。

install_vmware.png

ここまでは簡単なのですが、インストールしたVMware Workstation Proでは、ゲストOSとしてWindowsとLinuxしか選べません。

vmware_1.png

macOSを稼働するためには、インストールしたVMware Workstation Proにパッチを当てる必要があります。この点が釈然とせずダークなイメージがつきまとうので、これまでVMwareとは距離をおいていましたが…

VMware Workstation Proのパッチは、「Unlocker」と呼ばれています。ロックされていたmacOSのインストールをアンロックするという意味なんでしょう。そもそもなんでVMware Workstation ProにmacOSのエミュレーション機能が実装されているにも関わらずロックされているのか?疑問です。
Unlockerは公式のものではなく、野良で開発されたものなので危険なものもあるかもしれません。

筆者が使用したものは、以下のサイト

https://github.com/DrDonk/unlocker/releases
DrDonk/unlocker

ここにあったunlocker426.zipを使用しました。

unlocker426.zipを伸張し、

windows/unlock.exeを管理者として実行。途中enterキーを押下する必要がありますが、一瞬で終わります。

パッチを当てたあとでは、ゲストOSとしてApple Mac OS Xが選べるようになります。

vmware_2.png

以上で、VMware Workstation Proの準備が整いました。

macOS 15 Sequoia インストーラーの入手

Sequoia を入手するには正規のmacが必要です。「正規の」とはApple IDでログインできるmacという意味で、Apple IDでログインできないHackintoshや仮想マシン上のmacOSではうまくいかない場合があります。

macのターミナルを開いて、softwareupdate可能なバージョンの一覧を見てみます。

$ softwareupdate --list-full-installers
Finding available software
Software Update found the following full installers:
* Title: macOS Sequoia, Version: 15.0, Size: 14138558KiB, Build: 24A335, Deferred: NO
* Title: macOS Sonoma, Version: 14.7, Size: 13343514KiB, Build: 23H124, Deferred: NO
* Title: macOS Sonoma, Version: 14.6.1, Size: 13340696KiB, Build: 23G93, Deferred: NO
* Title: macOS Sonoma, Version: 14.6, Size: 13339695KiB, Build: 23G80, Deferred: NO
* Title: macOS Sonoma, Version: 14.4.1, Size: 13298513KiB, Build: 23E224, Deferred: NO
* Title: macOS Ventura, Version: 13.7, Size: 11922748KiB, Build: 22H123, Deferred: NO
* Title: macOS Ventura, Version: 13.6.9, Size: 11920840KiB, Build: 22G830, Deferred: NO
* Title: macOS Ventura, Version: 13.6.8, Size: 11922165KiB, Build: 22G820, Deferred: NO
* Title: macOS Ventura, Version: 13.6.6, Size: 11917983KiB, Build: 22G630, Deferred: NO
* Title: macOS Monterey, Version: 12.7.6, Size: 12118346KiB, Build: 21H1320, Deferred: NO
* Title: macOS Monterey, Version: 12.7.4, Size: 12117810KiB, Build: 21H1123, Deferred: NO
* Title: macOS Big Sur, Version: 11.7.10, Size: 12125478KiB, Build: 20G1427, Deferred: NO
* Title: macOS Catalina, Version: 10.15.7, Size: 8055650KiB, Build: 19H15, Deferred: NO
* Title: macOS Catalina, Version: 10.15.7, Size: 8055522KiB, Build: 19H2, Deferred: NO
* Title: macOS Catalina, Version: 10.15.6, Size: 8055450KiB, Build: 19G2021, Deferred: NO
* Title: macOS Mojave, Version: 10.14.6, Size: 5896894KiB, Build: 18G103, Deferred: NO

Sequoia, Version: 15.0があることを確認できたら、

$ softwareupdate --fetch-full-installer --full-installer-version 15.0
Scanning for 15.0 installer
Install finished successfully

以上でmacのアプリケーションフォルダーに「Install macOS Sequoiaインストール.app」がダウンロードできました。

インストールメディアイメージの作成

以下はアプリケーションフォルダーに「Install macOS Sequoiaインストール.app」がダウンロードされたmac上で操作になります。

download_sequoia_4.png

このインストーラーから起動可能なISOディスクイメージを作成する手順を示します。

まずは、アプリケーションフォルダーに「Install macOS Sequoiaインストール.app」が生成されていることを確認してください。

以降は全てmacOSのターミナル上での操作。

(1) 16GBの空イメージを作成する。

$ hdiutil create -o sequoia  -size 16G -layout SPUD -fs HFS+J -type SPARSE
created: /Users/username/sequoia.sparseimage

(2) 空イメージをマウントする。

$ hdiutil attach sequoia.sparseimage -noverify -mountpoint /Volumes/Sequoia
/dev/disk2          	Apple_partition_scheme         	
/dev/disk2s1        	Apple_partition_map            	
/dev/disk2s2        	Apple_HFS                      	/Volumes/Sequoia

(3) 空イメージに、起動可能なインストールメディアを作成する。

$ sudo /Applications/Install\ macOS\ Sequoia.app/Contents/Resources/createinstallmedia --volume /Volumes/Sequoia
Password:
Ready to start.
To continue we need to erase the volume at /Volumes/Sequoia.
If you wish to continue type (Y) then press return: Y
Erasing disk: 0%... 10%... 20%... 30%... 100%
Copying essential files...
Copying the macOS RecoveryOS...
Making disk bootable...
Copying to disk: 0%... 10%... 20%... 30%... 40%... 50%... 60%... 70%... 80%... 90%... 100%
Install media now available at "/Volumes/Install macOS Sequoia"

(4) ボリュームをアンマウントする。

$ hdiutil detach "/Volumes/Install macOS Sequoia"
"disk2" ejected.

このコマンドで失敗した場合は、ボリュームを強制的にゴミ箱へドラッグ!

(5) isoイメージに変換する。

$ hdiutil convert sequoia.sparseimage -format UDTO -o sequoia
Driver Descriptor Map(DDM: 0)を読み込み中…
Apple(Apple_partition_map: 1)を読み込み中…
(Apple_Free: 2)を読み込み中…
disk image(Apple_HFS: 3)を読み込み中…
....................................................................
速度: 72.4Mバイト/秒
節約率: 0.0%
created: /Users/username/sequoia.cdr

(6) 後始末

$ mv sequoia.cdr InstallSequoia.iso
$ rm sequoia.sparseimage

以上で起動可能なインストールメディアイメージ「InstallSequoia.iso」が完成。

VMware Workstation ProにmacOS 15 Sequoiaの仮想マシンを作成

VMware Workstation Proを起動し、ホームタブ上の「(+)新規仮想マシンの作成」をクリック。

vm_sequoia_setting_01.png

新規仮想マシン作成ウィザードが開きます。

vm_sequoia_setting_01_2.png

仮想マシンの設定は以下のスクリーンショットを参考に。(筆者にて動作実績がある設定)

インストーラーディスクイメージファイルは、前節で作成した「InstallSequoia.iso」を指定。

vm_sequoia_setting_02.png

ゲストOSの選択

ゲストOSは「Apple Mac OS X」、バージョンは「macOS 14」を選択。

vm_sequoia_setting_03.png

仮想マシンの名前と場所を指定

vm_sequoia_setting_04.png

仮想ディスクのサイズを指定

vm_sequoia_setting_05.png

以上で設定完了。お好みで「ハードウェアをカスタマイズ(C)…」を設定し…

vm_sequoia_setting_06.png

Sequoia仮想マシンが出来上がった。

vm_sequoia_setting_07.png

「この仮想マシンをパワーオンする」でSequoia vmを起動すると、Sequoiaのインストールが進みます。

macOS 15 Sequoia のインストール

(1) 「この仮想マシンをパワーオンする」でSequoia vmを起動する。

install_sequoia_01.png

Appleロゴの後、言語選択画面が出るので、「日本語」を選択。

install_sequoia_02.png

(2) メニュー画面に切り替わる。まずはディスクユーティリティを選択。

install_sequoia_03.png

(3) 「VMware Virtual SATA Hard Drive Media」がインストール先のディスク。名前を「Macintosh HD」にし、「消去」ボタンをクリックし、ディスクを初期化する。

install_sequoia_04.png

(4) ディスクユーティリティを終了する。

(5) メニューに戻り、「macOS Sequoiaインストール」を選択する。

install_sequoia_05.png

(6) 「続ける」をクリックすると、macOS 15 Sequoiaのインストールを開始する。

install_sequoia_06.png

(7) インストール先のディスクを選択する。先に初期化した「Macintosh HD」ボリュームを選択する。

install_sequoia_07.png

(8) ディスクへのインストールが始まる。

install_sequoia_08.png

(9) vmが勝手に再起動し、インストールが継続。

install_sequoia_09.png

(10) インストール完了し、勝手にvmが再起動し、Sequoiaの初期設定に遷移する。

install_sequoia_10.png

(11) ウィザード形式でもろもろの設定を行います。

この仮想マシンではApple IDの設定はできないようです。

install_sequoia_11.png

注意する点は、「位置情報サービスを有効にする」は、この時点では有効にしないでおこくことです。有効にしてしまうと、筆者の環境ではなぜか位置がクパチーノに固定されてしまいました。(クパチーノはアップルの本社の所在地ですね。)それだけではなく、タイムゾーンも米国クパチーノに固定されて変更できなくなってしまいました。

install_sequoia_12.png

「位置情報サービスを有効にする」を有効にしなかったら、以下のタイムゾーン設定のページに遷移します。「位置情報サービスを有効にする」を有効にしてしまうと、タイムゾーン設定のページは出てきません。

install_sequoia_13.png

(12) すべての設定を終えて、Sequoiaのデスクトップとご対面。

install_sequoia_14.png

この時点で仮想マシンへのSequoiaのインストールができたので、vm画面の下段の黄色い欄にある「インストールを完了しました」をクリックする。これで鬱陶しい黄色い欄は消えてくれる。

筆者の環境ではデスクトップを見るとなんと壁紙が白いままでした。Sequoiaで追加された壁紙は今のところ全滅です。

Sonoma以前の壁紙ならば、

システム設定 > 壁紙

を開き、「スクリーンセーバとして表示」をOFFにすれば壁紙が表示されました。

セコイアの森の壁紙はデスクトップには表示されませんが、ログイン画面には表示されました。

install_sequoia_15_2.png

ここまでの段階でのデスクトップの様子。

install_sequoia_16.png

筆者の環境ではVMware上のSequoiaはさすがに遅すぎて使用に耐えません。ちなみにCPUは第8世代のCorei7。 デフォルトのままでネットワークは使えましたが、Apple IDのログインは出来ませんでした。

期待していた「iPhoneミラーリング」もこの仮想マシンからはApple IDにサインインできないため、動作させることはできませんでした。

VMware Toolsのインストール

最初にインストーラーInstall macOS Sequoia ISOイメージがマウントされていたらアンマウント(インストーラーDVDアイコンをゴミ箱にドラッグ)します。

仮想マシン(M)>VMware Toolsのインストール(T)… メニューからVMware Toolsをインストール

vmware_tools_1.png

インストーラーイメージがマウントされるので、「VMware Toolsのインストール」を起動。

vmware_tools_2.png

インストール途中でセキュリティ許可を求められるので、「許可」をクリック

VMware Toolsをインストールすると、ホストOSのディスクをマウントできたり、自在にウインドウサイズを変更できるようになります。

キーボードがおかしい?

VMware PlayerにSequoiaをインストールしてみて使ってみると…

キー入力の際、「“」を入れたつもりが「@」になってしまうとか、意図した記号キーが入力できないということはありませんか。

もしそうであれば、Sequoiaが正しいキーボード種類を認識していないということです。

このような場合、

アップルメニュー > システム設定 > キーボード

「キーボードの種類を変更」ボタンをクリックし、「キーボード設定アシスタント」を起動し、キーボードの種類をANSIキーボードからJISキーボードに変更すれば直るのですが、VMware PlayerにインストールしたSonomaには「キーボードの種類を変更」ボタンが無い!おそらくはVMware PlayerがANSIキーボードをエミュレートしていて決め打ちになっているのだと思いますが…

「キーボード設定アシスタント」は、Finderから

システム>ライブラリ>CoreServices

を開き、KeyboardSetupAssistantを起動すると立ち上がるはずなのですが、VMware PlayerにインストールしたSequoiaではこれもうまくいかない!

ここで詰んでしまったのですが、キーマッピングを変更するアプリKarabiner-Elementsをインストールすると、なぜかKeyboardSetupAssistantが起動するようになりました。

https://karabiner-elements.pqrs.org/
Karabiner-Elements

KeyboardSetupAssistantでキーボードの種類をANSIキーボードからJISキーボードに変更すればOKです。

おまけ

Sequoiaの雰囲気だけ楽しめればいいのなら、Sequoiaのデスクトップ壁紙をダウンロードして入れ替えるだけでも楽しめますよ。 https://www.igeeksblog.com/download-macos-sequoia-wallpapers/
Download the official macOS Sonoma wallpapers here

install_sequoia_17.png

まとめ

macOS 15 SequoiaのインストールISOイメージを作成し、VMware Workstation Pro上にSequoia をインストールする方法を紹介しました。


Written by questions6768 who lives in Uji, Kyoto.