VirtualBoxにmacOS 11 Big Sur をクリーンインストールする

May 11, 2022

emulatormacOSVirtualBox

目次

はじめに

赤いデスクトップでお馴染みのmacOS 11 Big Sur。このBig SurをVirtualBox 6.1上にクリーンインストールしてみます。

はじめに結論を書きますが、筆者の環境では、以下の母艦/ゲストOSの組み合わせでインストールに成功しました。

母艦:macOS Monterey 12.3.1
VM: VirtuualBox 6.1.34
ゲストOS:macOS Big Sur 11.6.1
結果:成功

母艦:Windows11Pro 21H2
VM: VirtuualBox 6.1.34
ゲストOS:macOS Big Sur 11.6.1
結果:成功

インストール作業の流れとしては、

  • mac上でBig Surインストーラーをダウンロードする
  • mac上でインストールメディアイメージファイルを作成する
  • このイメージファイルをVirtualBoxが稼働するPCまたはmacへ持っていき
  • VirtualBoxのvmを立ち上げて、イメージファイルからクリーンインストール

となります。

以下、インストールに成功した組み合わせである、母艦Windows11Pro 21H2に、OS:macOS Big Sur 11.6.1をインストールする手順を中心に説明します。

Big Surインストーラーの入手

まずは正規のmacOS上で操作。「正規の」の意味は、例えばHackintosh上からとかWindowsのVirtualboxから立ち上げたmacOSからではないという意味です。気のせいかもしれませんが、筆者の場合、正規ではないmacからダウンロードしたインストーラーはインストール途中で止まったりインストールが開始できなかったりとトラブルが多発しました。一例ですが、以下のようなエラーに見舞われます。

virtualbox-error1.png

virtualbox-error3.png

では、早速Appleのサイトからインストーラーをダウンロードしましょう。

macOS Big Surダウンロードページを開く
https://apps.apple.com/jp/app/macos-big-sur/id1526878132?mt=12

macのブラウザから開くと、ここからApp Storeのリンクに飛ぶことが出来ます。

app_store.png

「入手」をクリックするとソフトウエアアップデート経由でインストーラーがダウンロードされます。

ダウンロードが完了するとBig Surインストーラが起動しますが、Big Surのインストールはせずに、インストーラーを終了します。

アプリケーションフォルダーに「macOS Big Surインストール.app」が生成されていることを確認します。

installer_app.png

インストールメディアイメージの作成

ここからはmacOSのターミナル上での操作。

(1) 13GBの空イメージを作成する。

$ hdiutil create -o bigsur -size 13G -layout SPUD -fs HFS+J -type SPARSE
created: /Users/hoge/bigsur.sparseimage

(2) 空イメージをマウントする。

$ hdiutil attach bigsur.sparseimage -noverify -mountpoint /Volumes/Bigsur
/dev/disk3          	Apple_partition_scheme         	
/dev/disk3s1        	Apple_partition_map            	
/dev/disk3s2        	Apple_HFS                      	/Volumes/Bigsur

(3) 空イメージに、起動可能なインストールメディアを作成する。

$ sudo /Applications/Install\ macOS\ Big\ Sur.app/Contents/Resources/createinstallmedia  --volume /Volumes/BigSur
Password:
Ready to start.
To continue we need to erase the volume at /Volumes/BigSur.
If you wish to continue type (Y) then press return: Y
Erasing disk: 0%... 10%... 20%... 30%... 100%
Copying to disk: 0%... 10%... 20%... 30%... 40%... 50%... 60%... 70%... 80%... 100%
Making disk bootable...
Install media now available at "/Volumes/Install macOS Big Sur"

(4) ボリュームをアンマウントする。

$ hdiutil detach /Volumes/Install\ macOS\ Big\ Sur

このコマンドで失敗した場合は、ボリュームを強制的にゴミ箱へドラッグ!

(5) isoイメージに変換する。

$ hdiutil convert bigsur.sparseimage -format UDTO -o bigsur
Driver Descriptor Map(DDM: 0)を読み込み中…
Apple(Apple_partition_map: 1)を読み込み中…
(Apple_Free: 2)を読み込み中…
disk image(Apple_HFS: 3)を読み込み中…
..............................................................................................................................................................
経過時間:  1m 11.795s
速度: 199.7Mバイト/秒
節約率: 0.0%
created: /Users/hoge/bigsur.cdr

(6) 後始末

$ mv bigsur.cdr InstallBigSur.iso
$ rm bigsur.sparseimage

以上で起動可能なインストールメディアイメージ「InstallBigSur.iso」が完成。

VirtualBox仮想マシンの設定

VirtualBox 6.1.34以降をインストールしておく。

仮想マシンの設定は以下のスクリーンショットを参考に。(筆者にて動作実績がある設定)

仮想マシン(M)>新規(N)…>仮想マシンの作成

名前:BigSur(ここは何でもよい)
タイプ:Mac OS X
バージョン:Mac OS X (64-bit) メモリサイズ:最低でも2048MB ◎仮想ハードディスクを作成する

create_vm.png

仮想マシン(M)>新規(N)…>仮想ハードディスクの作成

ファイルサイズ:最低でも32GB

create_vdisk.png

システム>マザーボード
メインメモリー;2048MB以上
起動順序:光学/ハードディスク
チップセット:ICH9
ポインティングデバイス:USBタブレット
拡張機能:
[レ]I/O APICを有効化
[レ]EFIを有効化
[レ]ハードウェアクロックをUTCにする

vm_system1.png

システム>プロセッサー
プロセッサー数:4
使用率制限:100%
拡張機能:
[ ]PAE/NXを有効化

プロセッサー数(コア数)は多いほど快適です。PCのコア数と同数で大丈夫です。1でも動作しますが、1だとインストールが死ぬほど遅い。

vm_system2.png

システム>アクセラレーション
準仮想化インターフェース:デフォルト
仮想化支援機構:[レ]ネステッドページングを有効化

vm_system3.png

ディスプレイ>スクリーン
ビデオメモリー:128MB
ディスプレイ数:1
グラフィックコントローラー:VBoxVGA
アクセラレーション:[レ]3Dアクセラレーションを有効化

vm_display.png

ストレージデバイス
インストール先のHDDイメージ「BigSur.dvi」を作成し、 先に作成した、インストールメディアイメージ「InstallBigSur.iso」を起動用のCD-ROMとしてマウントする。

vm_strage.png

オーディオ
[レ]オーディオを有効化
ホストオーディオドライバー:Windows DirectSound
オーディオコントローラー:Intel HDオーディオ
機能拡張:[レ]オーディオ出力を有効化

vm_audio.png

ネットワーク
アダプタータイプはmacで採用実績があるデバイスでないとうまく認識しないので注意。 [レ]ネットワークアダプターを有効化
割り当て:ブリッジアダプター
アダプタータイプ:intel PRO/1000 MTサーバー(82545EM)
プロミスキャスモード:すべて許可(ブリッジアダプターの場合)

割り当てはNATでもブリッジアダプターでも問題ありませんが、ブリッジアダプターにしておくと、仮想マシンがネットワークに直接つながった独立したデバイスに見えるので、実用的に使うには便利です。 プロミスキャスモードをすべて許可にしておくと、他のmacのネットワーク一覧に仮想マシン名が表示されます。

vm_network.png

ポート>USB VirtualBox_Extension_Packをインストールする必要があります。
[レ]USBコントローラーを有効化
◎USB3.0(xHCI)コントローラー

vm_usb.png

ここまで設定して、あとはvmを起動すればいいのですが、WindowsのVirtuabboxの場合は、さらにひと手間必要です。

vmを起動する前に、DOSプロンプトかPower Shellを開き、以下を実行します。

最後の2行は、使用するディスプレイの解像度にあわせて書き換えます。

cd 'C:\Program Files\Oracle\VirtualBox\'
.\VBoxManage.exe modifyvm "BigSur" --cpuidset 00000001 000106e5 00100800 0098e3fd bfebfbff
.\VBoxManage.exe setextradata "BigSur" "VBoxInternal/Devices/efi/0/Config/DmiSystemProduct" "iMac19,1"
.\VBoxManage.exe setextradata "BigSur" "VBoxInternal/Devices/efi/0/Config/DmiSystemVersion" "1.0"
.\VBoxManage.exe setextradata "BigSur" "VBoxInternal/Devices/efi/0/Config/DmiBoardProduct" "Mac-AA95B1DDAB278B95"
.\VBoxManage.exe setextradata "BigSur" "VBoxInternal/Devices/smc/0/Config/DeviceKey" "ourhardworkbythesewordsguardedpleasedontsteal(c)AppleComputerInc"
.\VBoxManage.exe setextradata "BigSur" "VBoxInternal/Devices/smc/0/Config/GetKeyFromRealSMC" 1
.\VBoxManage.exe setextradata "BigSur" VBoxInternal2/EfiHorizontalResolution 1024
.\VBoxManage.exe setextradata "BigSur" VBoxInternal2/EfiVerticalResolution 768

Windows上のVirtualBoxでは、macOSを起動したときのシリアル番号が「0」になってしまいます。これが気に食わない場合は、以下のコマンドでシリアル番号を設定することが可能です。

cd 'C:\Program Files\Oracle\VirtualBox\'
.\VBoxManage.exe setextradata "BigSur" "VBoxInternal/Devices/efi/0/Config/DmiSystemSerial" "macのシリアル番号"

上記の設定後、vmを起動すると、Big Surのインストールが進みます。

Macの場合は、ディスプレイ解像度の設定だけでOK。

デフォルトの解像度は1024x768ですが、例えばMacBookPro late 2013のRetainaディスプレイ(2560x1600)でフルスクリーンで稼働させる場合は、次のように設定します。

$ cd /Applications/VirtualBox.app/Contents/MacOS
$ VBoxManage setextradata "BigSur" VBoxInternal2/EfiHorizontalResolution 1280
$ VBoxManage setextradata "BigSur" VBoxInternal2/EfiVerticalResolution 800

vmを起動するとmacOS Big Surのインストールを開始します。

macOS Big Surのインストール

vmを起動すると、ダラダラとしたコンソール出力の後、言語選択画面が出るので、「日本語」を選択。

install_1.png

メニュー画面に切り替わる。まずはディスクユーティリティを選択。

install_2.png

VBOX HARDDISK Mediaがインストール先のディスク。「消去」ボタンをクリックし、ディスクを初期化する。名前は伝統に従い「Macintosh HD」とする。

install_3.png

ほどなく初期化完了。

install_4.png

ディスクユーティリティを終了する。

メニューに戻り、「macOS Big Surインストール」を選択する。

install_6.png

macOS Big Surインストールを開始する。

install_7.png

インストール先のディスクを選択する。先に初期化した「Macintosh HD」ボリュームを選択する。

install_8.png

ディスクへのインストールが始まる。

エミュレータなのでそれなりに時間がかかる。

install_9.png

何度か再起動を繰り返して、

install_10.png

数十分もあればインストール完了。

ウィザード形式で各種設定を行う。

install_11.png

途中Apple IDを設定するところがあるが、VirtualBox上のBig SurではApple IDが設定出来ないので注意。

さいごにキーボードの設定をしたらおしまい。

install_12.png

Big Surの赤いデスクトップとご対面。

install_13.png

時間帯が正しく設定されていないので設定する。

設定>日付と時刻

install_14.png

macOS Big SurのVirtualBox上での動作

VirtualBox上のBig Surは、意外とまともに動く。サクサクとは言い難いが。

Apple IDでサインインしようとすると、「ICLOUD_UNSUPPORTED_DEVICE」と怒られる。Catalinaでは出来ていたのだけど、残念。まぁエミュレータだから仕方ないか。

Apple IDでサインインできないんで、メールもiCloud driveも使えず、ソフトウエアアップデートも出来ないんで、常用はきびしいかも。

まとめ

macOS Big Surのisoイメージを作成し、VirtualBox6.1上にmacOS Big Surをクリーンインストールする方法を紹介しました。


Written by questions6768 who lives in Uji, Kyoto.